こんにちは。今まで合計14カ所でアートの勉強をしてきた管理人の髭猿です。
より良い環境を求めて、手探りで本当に色んな学校やアトリエで勉強してきました。時にその姿はまるでカモのようでした。
そんなぼくの選球眼で、どこでアートを勉強すればいいかの分からないという人のために、日本のアート系学校の種類と特徴を丸裸にしようと思います。
ぼくが選んだ環境
まず、どの学び場を選んでも一長一短あるという前提で話をします。
海外美大留学を志す場合、ひとつの学校でそれが完結することはほぼないと思ってください。
それは、海外美大受験に完全対応したカリキュラムやノウハウが、まだ日本に存在しないからです。
海外美大留学をするために何を学びたいのか自分で明確にして、その事柄ごとに最適な場所・方法で勉強する必要があります。
ぼくが過去に利用したものはこちら。
・学校(個人経営のアトリエ、通信教育含む):5ヶ所
これは目的別に用途が大きく分かれます。
需要と供給のミスマッチがないように気を付けて下さい。学校を見誤ると、ぼくみたいに時間とお金を浪費して終わります。
・クロッキー会:7ヶ所
海外美大留学したい人は通いましょう。アニメーションやイラストレーション専攻なら必須です。
・プロが開催する単発のドローイングセミナー的なやつ:2ヶ所
興味がある人は参加してみても良いかもしれません。
それでは順に詳しく解説していきます。
美大予備校
国内の美大進学を目指している高校生や浪人生が通う学校です。
国内美大受験をしたいなら、ここのカテゴリです。
また、多くの美大予備校では美大進学を目的としていないコースも併設されています。大人のデッサンコースとか趣味の油絵コースとか。
それぞれのカリキュラムはしっかりしているはずです。
デッサン基礎やパースペクティブ、アナトミーなど、自分が学びたい分野がピンポイントであれば積極的に受講して良いと思います。
大学進学は考えていないけれど、絵の勉強がしたいという方も、一度美大予備校のホームページをチェックしてみると良いと思います。
海外美大受験に対応したワンストップのカリキュラムはないものの、必要な技術をピンポイントで補完するのに適していると思います。
美大予備校(留学コース)
国内美大受験がメインの予備校の中にも、数校ですが、海外美大留学コースが併設されている学校があります。
しかし実際のところ海外美大受験の知識はまだまだ不十分であることが多いです。
カリキュラムも確立しておらず、どの学校も手探りで運営しているのが正直な現状かと。
理由は、単純に留学経験のある先生がまだ少ないことと、ポートフォリオ制作の難しさにあると思います。
海外の美大はポートフォリオで合否がジャッジされますが、それがどういう基準で判断されるのか、どういう作品が評価されるのかはブラックボックスなのです。
それこそ海外美大でプロフェッサーとして勤務していないと知り得ない事なので、これを正確に理解している人が日本にはまだ少ない。
ポートフォリオのジャッジのいろは・トレンドを理解して、それを組織として集約し、体系的にカリキュラムに落とし込んだ授業を展開している学校は、日本国内にはほぼないでしょう。
どこの学校も、海外美大留学の経験がある先生に依存して、属人的にやってると思います。
もちろん国内の予備校から海外美大に合格する生徒は毎年一定数いますし、SVAやアートセンターのイラストレーション科の合格実績が十分ある学校もあります。
そういった学校はOB・OGにフィードバックしてもらうことで少しずつ授業内容は充実していくでしょうが、それでもまだ発展途上です。
ただ、専攻に関係なく色々なアートメイキングをするカリキュラムを取っている学校が多いので、海外美大に行きたいけれど何を専攻するか決まっていないという人には良いかもしれません。
立体もできるし、ペインティングやコラージュもやると思います。その過程で好きなジャンルが見極められるかもしれません。
しかし、恐らく基礎的なことをじっくり学んでいくコースではないので、ぼくみたいにゼロからアートをはじめる場合は他の方法で基礎を固める必要があります。
ちなみに自分の行きたい大学の合格者が過去にいれば、その人のポートフォリオを見せてもらえるはずなので、チェックしましょう。
美大予備校(夏期講習)
これは夏休みを利用した、1日6時間×5日みたいな短期集中型のコースです。スケジュールが合えば利用してみるのもありなのかなと思います。
一週間集中してみっちりデッサンをやりたい、みたいな場合は良いかと。
でも講師は、現役美大生がアルバイトで教えているところが多く、正直質はピンキリです。
教える人によってムラがあると思います。ぼくはおすすめしません。
個人経営の学校、アトリエ
これも見極めが難しい。
先生とは言っても、現役のアーティストが片手間で教えている事が多い印象です。個人的にはそれって先生とは言えないと思うんだけれど。
教えるのが下手、そもそも教えることにモチベーションがないなんて人もざらにいます。
生徒も、教わるっていうより絵を描く場所とモデルを提供してくれればそれで良いみたいな感じです。
気を付けて下さい。このカテゴリには受験用のポートフォリオに詳しい人はいません。
海外美大留学をしたい人は来ちゃダメです。
たまに海外美大出身のアーティストが先生をしていることもあるので、当たりを引きたい人は地道にリサーチするしかありません。
逆に、美大進学とは関係なく、とりあえず絵を描いてみたいという人にはかなりおすすめです。
スケジュールの都合も付けやすく、気が合う先生が見つかれば最高です。
生徒の平均年齢が高いため、社会人の方にもおすすめだと思います。
美大予備校よりもかなりのんびり、和気あいあいとした雰囲気です。
通信教育
家から通える範囲に絵の学校がない!という場合はこれになると思います。
価格も比較的リーズナブルであることが多いですし、はじめのうちは利用するのもありかもしれません。
ぼくも最初4ヶ月くらいやってました。もっとやったかもしれないけど忘れた。
ただ実際に目の前で描いてもらえないというのは非常に大きなデメリットです。
事後フィードバックというのもマイナス要素。できればその都度分からない事を聞きたいです。
クロッキー会
2,000円でクロッキーができ、区民館や学校、スタジオなどで開催されます。
東京近郊であちこち開催されていますが、どこも大体2時間半~3時間。
海外美大留学をしたい人は、クロッキー会は必ず参加しましょう。これは必須です。もはや義務です。
ぼくはカルアーツに合格するまでの1年半の間、最低週2回参加、できれば3回、やむなく週1回のときは罪悪感で禿げる、という感覚で通っていました。
ピークのときは週4~5とかで参加していました。ガバガバお金なくなりましたけど。
【(近所の地名) クロッキー 】とかで検索すると、どこかしらのクロッキー会がヒットすると思います。
ポーズの時間も会場によって様々なので、事前に調べる事をおすすめします。
たまにはムービングポーズがある会場にいくのも良いです。
ちなみにぼくが以下のことを気にして会場を選んでます。
・モデルさんにスポットライトをあててくれる
・イーゼル、画板がしっかりしている
・ポーズの時間配分のバランス
・会場の大きさ
基本的に土日は混み合います。
良いポジションで描くためには、できれば30分くらい前に到着して順番待ちしたほうがいいです。
着衣やムービングポーズなど、特別企画をやることもあるので、いつもいく会場でも情報は事前に確認しましょう。
プロが開催する単発のドローイングセミナー的なやつ
高価格です。アホみたいに高い。2日で3万円とかです。もう一度言うけどアホミタイニタカイ。
ただ非常に著名なアーティストが生で描くところを見られるのは刺激的です。
長年ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで若手アニメーターを指導していたような、巨匠レベルの人が開催しているセミナーに参加したときは、本当に魔法みたいでした。
でも、『この2日でめっちゃ上達するかも!』っていう淡い期待を抱く昔のぼくのようなカモ指数高めの人は要注意です。たった2日で劇的に絵がうまくなることはあり得ません。
高いレベルの人ほど参考になるものが多いと思うので、まだ初心者の人は参加しなくて大丈夫だと思います。
結局どうすれば良いのか
じゃあ結局どこでアートを勉強するのが良いのってなると思いますが、学びたい内容で異なります、っていうのがぼくのアンサーです。
上述の通り、何を学びたいのかを自分で明確にし、その事柄ごとに最適な場所・方法で勉強する必要があるんです。
とりあえず気軽に絵を始めたいなら地元のアトリエが良いですし、デッサンを基礎からしっかりやりたいなら美大予備校が良いでしょう。
とにかく学校主体で考えないで下さい。
身に付けたい技術が前提としてあって、それを習得するために、技術毎に最適な場所を選びましょう。
『あなたに必要なのはこれと、これと、これよ』とカリキュラムを用意してくれる環境は現在日本にはありません。
というか、誰かが手取り足取りカリキュラムからお膳立てして、学習計画を立ててくれることなんてあり得ないよ、学生諸君。
大学で何を勉強し、卒業後何をしたいのか。そのためにどんな大学に行きたいのか。そこに合格するためには何が必要なのか。
それをしっかり自分で考えて、戦うことが大切です。