スカルプターのための美術解剖学は 、1000点を超えるイラスト・CG画像と250を超えるヌード写真によって、分かりやすく人体の構造と筋肉を解説している書籍。初心者から絵を描き慣れている人まで、美術解剖学についてだけではなく、さらにはその知識をどう絵に活かすかということを学べる1冊です。
- 人体の絵がうまくなりたい人
- 人体の3Dモデリングがうまくなりたい人
- 美術解剖学の初心者
- 美術解剖学に関する基礎知識
- 美術解剖学を活かした絵や3Dの表現
プロのクリエイターがおすすめするこの書籍。実際にどんな中身なのか?ということで今回はスカルプターのための美術解剖学について詳しく解説していきます!それではどうぞ!
スカルプターのための美術解剖学ってどういう本?
3Dアーティストが人間のキャラクターをモデリングするときの参考書というコンセプトの本なので、筋肉や骨格の仕組みを元にそれをどう簡略化して再構築するかという説明に非常に長けている一冊です。
つまり美術解剖学に関するアカデミックな本というわけではなく、もちろん知識や構造について触れながらも、それを3Dやイラストとしてどう簡略化してアウトプットするかということを目的としているんです。それが他の美術解剖学書と大きくことなる点です。
文章による解説は最低限かつピンポイントになっていて分かりやすく、視覚的な情報が多いのでインプットもアウトプットもしやすいのがこの本の大きな特徴です。
スカルプターのための美術解剖学の目次
スカルプターのための美術解剖学の目次はこちら。実際のページはAmazonから試し読みできます!
- 全身胴体
- 頭部&首
- 上肢
- 下肢
全身胴体
胴体の骨や筋肉の名称、男女の骨格の違いから筋肉や脂肪の付き方の違いを詳しく図で説明しています。脂肪による体型の違いや年齢別の比率などもわかります。さらに、魅力的に見える体形やポーズなども解説されています。最終的にアートとしてどう表現するかということまで言及されているのが良いです。※ポーズの資料集ではないです。あくまで美術解剖学書です。
頭部&首
頭蓋骨から首回りの筋肉、異なる角度から見た頭部の図や幼児の頭部、そして年齢や男女別の頭部の比率まで解説されています。その他、眼球の形や目の動き、表情をつくる筋肉、角度別の見た耳や鼻などについて掲載されています。
上肢
手や手首、肩や腕など、上肢とそれらの筋肉に関する資料が掲載されています。さらに腕がどのように胴体に繋がっているのか、腕を回転させたり手を前に出した時の筋肉や断面図はどうなるのかといった情報が分かります。
下肢
腰と脚の骨格や筋肉、関節などについて書かれています。同じ筋肉を異なる角度から見た図や、ランドマークとなる骨や筋肉の図、膝の構造に関する説明が分かりやすく掲載されています。
写真とイラストの資料でデフォルメが分かる
人体のヌード写真と同じポーズで体内の筋肉がどのように伸縮しているかというイラストが、比較しやすいレイアウトで並べられています。
なので写真とイラストを見比べて、
- どのようにデフォルメされているか
- どの線を描き、どの線を省いているのか
というインプットをすることができます。
これらのページは模写に非常におすすめで、模写することでそういった表現のパターンを自分の中に増やしていくことができます。
- 人体のヌード写真を模写する
- 内部の筋肉のイラストを模写する
- イラストを隠し、ヌード写真を見ながら内部の筋肉のイラストを再現してみる
- 自分の再現したものと筋肉の構造のイラストを見比べて復習する
これにより、骨格や筋肉に関する知識のインプットとアウトプットを同時に勉強することができます。
絵を描くときに間違えやすいポイントが解説されている
上述の通り、元々この本は彫刻家やイラストレーター向けに、絵や3Dとしてアウトプットすることを最終的な目的としているので、表現をする際に間違えやすいポイントや役立つ内容が解説されています。美術解剖学のよくある間違いが図解入りで説明されているのは、絵を描くときにとてもに助かります。
例えば、
- 腕のラインはまっすぐではない(どこが外側にカーブして、どこが内側にカーブしているか)
- 顎を描くときによくある間違い
- 腕を捻ったときの形と断面図
- 腕を上げたときの肩や脇の構造(脱臼しているように見えてしまうのを防ぐ)
- リラックスしているように見せるには
- どの骨がシルエットに影響を与えるか
- いろんな姿勢の時の女性の胸の形
人体に関する先入観って自分が思っている以上に強くて、間違えていることにすら気が付かないですよね。だから能動的に自分で調べるのも難しい。下手したら間違えていることにずっと気が付かないまま…。それが全部この本一冊で解決します。
他にも「これが知りたかった!」という細かい情報がたくさん掲載されています。
購入する前の注意点
文章が少なく視覚的な情報を多くしているのが本書の特徴なので、その分美術解剖学の初心者でもとっつきやすいし分かりやすいというメリットがあるのですが、
- 逆によりアカデミックな美術解剖学書を読みたい
- 筋肉ごとの役割や機能に関する解説をもっと文章で読みたい
など、より深い知識を求める場合はソッカの美術解剖学ノートやアーティストのための美術解剖学がおすすめです。
スカルプターのための美術解剖学はフルカラーの視覚的な情報量はとても豊富です。金額は他の本よりも高めですが、最低限かつピンポイントな解説なので挫折せずに読破することができます!そういう意味では価格の元がしっかり取れると思います。また、一度読んだ後も索引書として手元に置いて使用できます。
スカルプターのための美術解剖学のレビューまとめ
スカルプターのための美術解剖学のレビューまとめです。
この本がおすすめの人
- 人体の絵がうまくなりたい人
- 人体の3Dモデリングがうまくなりたい人
この本で学べること
- 美術解剖学に関する基礎知識
- 美術解剖学を活かした絵や3Dの表現
簡略化の感覚を掴むにはもってこいの一冊ですし、美術解剖学を初めて学ぶ方にもおすすめの内容です!筋肉や骨格の仕組みを元にそれをどう簡略化して絵として再構築するか、ということに重きを置いた美術解剖学書は少ないので非常に面白いです。
以上、スカルプターの美術解剖学についてまとめてみました。実際のページはAmazonから試し読みできます!分厚くて重いので、Kindle版もおすすめです!では!