アメリカの美大に通っている髭猿です。
『クロッキーを始めたんですけど、どのペンを使えば良いですか?』
『クロッキーにおすすめの画材とかってありますか?』
っていう質問、よく目にします。
『とりあえず初心者にはこれが良いよ~』
っていう回答、よく目にします。
このやり取りは正しいのか?と、最近考えるようになりました。
もちろん、自分も身に覚えがある会話です。一見問題なさそうです。
でも最近は思う。おすすめは無い、という回答もあるなと。
だって、その人が何を描きたいのか次第だから。それを無視して、知らずして、これがおすすめです!とは、本来言い難いのではないかと。
そんな風に考えるようになっちゃいまして。
本当はこれがおすすめのペンだと言い切るのは難しい
描きたい表現や身に付けたいことによって、おすすめのペンは異なる。だから、そういうのをすっ飛ばしてこれがおすすめです!と言い切ることができない。
白黒ハッキリ言えないのがむしろ面白さです。でもそれを歯切れの悪い文章の免罪符にするのはズルいと思う。
ズルいと分かっているんだけど、全てを整理するのは無理だ。むしろ傲慢だ。だから諦めました。自分の書き言葉が追い付かない。
ならばどうするか。結構マジメに考えました。
その結果。
『ぼくが描きたいものはこんな絵です、だから好き好んでこんな画材使ってます』
それだけ言えば良い。そういう結論に至りました。
なので、おすすめというか、ただただぼくが好き好んで普段使っているものを紹介してみようと思います。
ぼくがクロッキーによく使う画材
筆の太刀筋はザクザクと大胆なのに情報は緻密。っていう絵が描きたいです。
なので大きく描けて、多少は細部も描けて、でも細かすぎる描写は描きにくい、というちょっとワガママな画材を使うのが大好きです。
木炭
- 細い線が引けるし広い面も塗れる
- 細かすぎる描写は出来ないので、むしろ全体を観察することに集中できる
- 使う紙は木炭紙
横にして使えば広い面が塗れるし、普通に持てば細くも描ける木炭。かなり利便性が高いので、よく使います。
手が汚れるので、アルミホイルを巻いて使ってる人をたまに見かけます。
チャコールペンシル
- 木炭とほぼ同じ
- 手が汚れにくいのと折れにくいので木炭より利便性が高い
- 使う紙は木炭紙
木炭とほぼ同じです。斜めに使えるけど、真横にすることはできないので、木炭のが広い面に描写できますが。
美大に入学してからはチャコールペンシルばっかり使ってます。落とすと芯が中でが粉々になってしまうので、結構気を付けて扱ってます。
メーカーによっては芯の硬さが3段階ありますが、ぼくMediumが好きです!
Gペン
- ひとつで細い先と太い線のコントロールができる
- ペン先に弾力があって描き心地がめちゃくちゃ心地良い
- 使う紙Gペン専用の紙が高価が望ましい
- コピー用紙でも描けないことはない
Gペン、先月から導入したんですけど、めちゃくちゃ良くてハマっています。インクにペン先を浸して使用します。
でもひとつ大きなデメリットが。Gペン専用の紙が高価なんです。
つるつるした専用の紙のほうがペン先が走って描きやすいけど、慣れれば普通のコピー用紙でも描けないことはないです。
ペン先が紙に引っかかりやすいので、ペン先の角度や方向など、慣れがいるけど。専用の紙を使ったときのすーーーーっと走るGペンの描き心地の良さ異常。忘れられない。
鉛筆は使わない
ぼくはクロッキーでは鉛筆を使いません。鉛筆は緻密な絵には適しているけど、短時間で大胆な表現には不向きだからです。
あとは何より、どうせ消す時間がないから。
鉛筆の大きな利点は消せることですが、短い時間で人間を描いていくクロッキーでは、消しゴムを使って描き直す時間がありません。特に30秒から2分のポーズだと顕著です。
一度描いた線が思ったものと違ったとしても、むしろそれを活かせるような次の線を探る。という描き方も楽しいですよ。
途中でペンを変えない
どんなペン・画材を使っても、共通して気を付けていることがあります。これは先生に教わってからずっとそうしてることなんですけど。
それが、途中でペンを変えないということ。
その日の約2時間のクロッキー会の中で、使う画材を変えることはありません。その日は木炭と決めたら最初から最後までずっと木炭で通します。
画材によって得意な表現・適した表現が変わるので、30分とか2時間とか、たとえ短い時間でも繰り返して使うにつれて線の取捨選択や表現が洗練されてきて、後半に良いものが出やすかったりするんです。
でも途中で画材を変えてしまうと毎回積み上げてきたものがリセットされてしまう。なんとなくその日描いたものが全部バラバラというか、まとまらない感じがするんです。
要は、どんなに技量の人でも、画材にあったウォーミングアップが必要だと。ウォーミングアップがせっかく完了したのに、そこで画材を変えたら意味ないだろと。先生はそう仰っていました。
昔はぼくも、セッションの途中でコロコロ画材を変えることがありました。木炭の次はクレヨン使って、その次はパステル使って、みたいな。
でも先生の話を聞いて腑に落ちる部分があったので、特別な理由がない限りは途中でペンや画材を変えることはしなくなりました。
もちろん個人差はありますし、万人に当てはまることではないと思うので、選択肢のひとつとしてご紹介だけしておきます。
まとめ
クロッキーを始めて5年経ちましたが、クロッキーを始めた当初から今までずっと使っているものたちです。そういう意味では、これからクロッキーに挑戦してみる方にもおすすめできます。
この記事が、クロッキーやそれを描くペン・画材について考えるキッカケになっていたら嬉しいです。
でも、結局は好きなものを使えば良いと思ってます。別に鉛筆でクロッキーやったって、全然良いと思う。
オンラインでクロッキーをするなら、デジタル画材も相性が良いです。
最終的には楽しんだもん勝ちです。では!