アメリカはLAにあるカリフォルニア芸術大学(通称カルアーツ)で留学中の髭猿です。
過去記事でVRヘッドセットとゲーミングPCの紹介をしてきましたが、今回は実際にOculus Mediumと呼ばれるVR造形ソフトを使用したレビューです。それではどうぞ!
Oculus Mediumとは
Oculus MediumはAdobeが買収したVR造形ソフトです。直感的な操作で扱うことができ、初心者からプロまで幅広いクリエイターに親しまれています。元々はFacebook傘下のOculus部門が開発していましたが、2019年12月にAdobeに買収されました。
VRでクリエイター系のソフトといえばQuillとOculus Mediumが有名ですが、Quillがドローイングソフトであるのに対して、Oculus Mediumは3次元の立体を造形できるモデリングソフトです。
とりあえず公式の説明も貼っておきます。
没入感のある環境でスカルプト、モデリング、ペイントなどを行うことができます。初心者でも、クリエイターの卵でも、プロのアーティストでも、短時間で簡単に3Dオブジェクトを作成し、表現力豊かな芸術作品を生み出せます。
OBJまたはFBXフォーマットでアセットをエクスポートできます。モデルを3Dプリントしたり、お好みのゲームエンジンで使用したり、別のプログラムにインポートして特別なレンダリング、合成、ペイントなどの作業を行ったりすることができます。
(Oculus公式より引用)
Oculus Mediumは、VRヘッドセットとゲーミングPCを繋いで使用することができます。VRヘッドセット単体だけでは遊ぶことができません。スタンドアローン型VRヘッドセットのOculus Goには非対応となっています。
Oculus Mediumで作品をつくってみた
ということで早速やってみました。なんとなくメカっぽいものを作りたいなーと思いつつ、とりあえずノープランで出発。やりながら考えます。
左手親指のトリガーを上に入力すると手元に8つのツールが表示される。粘土を追加したり削ったり、伸ばしたり曲げたりしながら、思いのままに造形していくことができます。
Oculus Mediumの特徴として、スタンプと呼ばれる便利な機能があります。スタンプはあらかじめ造形がされている粘土で、複数のスタンプを組み合わせることで簡単に初心者でも簡単に立体物をつくることができます。Photoshopでいうブラシみたいな感覚です。
モデリングだけでなく簡単なペインティングもできます。
粘土を放出してみた。こんな感じで目の前に実際に粘土があるかのように作業を進めることができます。粘土を掴んでくるくる動かせば簡単に全体の形を把握できるし、粘土には触らず自分が動いたりしゃがんだりして目線を変えることで粘土の側面や底面を見るのも面白いです。
なんか引っ張りたくなったので、餅のようにぐいーんと伸ばしてみた。やりたいと思ったことを簡単に行動に移して結果を得ることができる。本当に直感的に作業できます。
ということでメカっぽいものをモリモリ作っていきます。
先端にアームがついた空飛びそうな乗り物ができました。作業時間は1時間半くらい。
直感的な操作によって、シンプルかつスムーズにアイデアを視覚化することができる
ここからはOculus Mediumを使ってみた感想。何よりもまず、直感的に操作できるのが素晴らしい。VRヘッドセットを装着することで、本当に目の前に粘土が現れるような感覚になります。あとは子供の頃のように粘土をこねるだけで良いという。この直感性はさすがVRといったところ。
日本語のチュートリアルはググってもほとんど出てきませんが、実際に使ってみて自分で慣れたほうが早いような気がするので問題ないと思います。ちなみに英語なら大量のチュートリアルが出てきます。
Mayaでは得られなかった“美術をしている”という感覚
前の学期にカルアーツで彫刻の授業を取っていたけど、Oculus Mediumはそれとほとんど同じ感覚で没頭することができました。
図形の厚み・辺の長さ・頂点の数を増やしたり減らしたり、あるいはそれらの位置を動かす上で、いつでも数値入力が欠かせないMayaはどうしても「数学」の要素が強いけど、Oculus Mediumは完全に「美術」をしている感覚になれる。これは個人的に非常に大切なことです。
Mayaでは決して得られなかった美術をしているという喜びを全身で感じることができて、『ああ、自分はずっとこれがしたかったんだ』と幸せな気持ちになれました。
ちょっとハマりそう。引き続きOculus Mediumで遊んでみようと思います。では!