カルアーツに入学する前、ぼくはニューヨークのP.I. Art Centerに短期留学をしてポートフォリオを作成していました。
P.I. Art Centerで取ったのが、元Prattの先生が教えるコンセプチュアルなアートメイキングに関する授業。
その先生が、一度クロッキーのワークショップを開催してくれたのですが、これが思いもよらない程新鮮な方法でして。
アニメーション志望の人はもちろん、ファインアートをやりたい人や、趣味で絵を描いている人も試す価値あるものだと思うので、今回はそのとき学んだ描き方をご紹介します。
1年くらい絵を描いてきたけどマンネリ気味でスランプという人や、自分の絵がアカデミックすぎて個性がないと感じている人にも是非試してもらいたい内容です!
ブラインドコントアーとワンラインドローイングについて
このクロッキー術は、ブラインドコントアーとワンラインドローイングという2つの描き方をミックスして行います。
まずはブラインドコントアーとワンラインドローイングについて説明しておきましょう。
ブラインドコントアーは、手元を全く見ずにモチーフだけを見て描く手法のこと。
ワンラインドローイングは一筆描きの事ですね。一度も紙からペンを話さずに、一本のストロークで絵を描く手法です。
クロッキー方法
以下の方法でモデルさんを描いていきます。ポーズの長さに合わせて、全部で6つの方法があります。
1.1分ポーズ×20
ブラインドコントアーで同じ画面に描き続ける
絵の出来は気にせず、大きく気持ちよく腕を動かします。
同じ画面に描き続けるというのがミソで、偶然できる線と線の重なりが、新しいインスピレーションのきっかけになってくれます。
2.ムービングポーズ20分
ワンラインドローイングで、同じ画面に重ね描きをする
これも手ではなく腕ごと動かすイメージで描きます。
1と同じで画面に偶然できた形やパターンは創作の種になります。
3.5分ポーズ×4
ブラインドコントアーで2ポーズ、ワンラインドローイングで2ポーズ描く
画面の出来は気にしなくていいので、とにかくモデルさんをよく観察します。
手元を見て描くときは描けないような面白い線が引けて、意外とそんな線の方が魅力的だったりすることに気が付くでしょう。
4.10分ポーズ×2
1ポーズ目:前半5分はブラインドコントアーで描く、後半5分はその上に画面とモデルさんを両方見ながら着彩
2ポーズ目:前半5分は画面とモデルさんを両方見ながら着彩、後半5分はその上にブラインドコントアーで描く
手元を見ながら描く絵とブラインドコントアーの偶然性が掛合わさってできる作品を楽しみます。
ブラインドコントアーの代わりのワンラインドローイングをしても良いです。
5.10分ポーズ×2
1ポーズ目:前半5分はブラインドコントアーで着彩、後半5分はその上に画面とモデルさんを両方見ながら描く
2ポーズ目:前半5分は画面とモデルさんを両方見ながら描き、後半5分はその上にブラインドコントアーで着彩
4と同様に、普段の自分では生み出せない表現を楽しみます。
出来上がったものをしっかりと観察し、好きだと感じる部分を探します。
そこが何故好きなのかを考えることが表現の探求に繋がっていきます。
6.20分ポーズ
前半10分はワンラインドローイング、後半10分は木炭と修正液で加筆
前後半ともに、画面を見て良いです。
肩の力を抜いて、今まで描いてこなかったようなものを描くつもりでやるのがコツです・。
まとめ
一見効果を疑うようなものもありましたが、いざやってみると今までにない感覚と表現で、形を綺麗に描くことにこだわりずぎていた自分には非常に良いカンフル剤となりました。
使用画材は、ドローイングする際は木炭かペン、着彩の際は水彩かアクリルかパステルを使うのがおすすめです。
自分の表現に停滞を感じた時や、リスクを取りたい時は、是非このメニューをトライしてみてください。
ちなみにこのワークショップはその後も何回か開催されたんですけど、最後の方はブラインドコントアーのコラージュでクロッキーしろって言われるほどカオスになりました(笑)。
PS. 海外美大受験をしたい人は・・・
海外美大受験を考えている人は、これらの手法をポートフォリオに入れられるような作品に繋げることが大切です。
例えばブラインドコントアーで描いた絵をじっくり観察してみると、他の作品に使えそうな面白いパターン(模様)が見つかるかもしれません。
ぼくはこのワークショップの後も自分で同じトレーニングを何度も行い、その過程でパズルの様に描写することが面白いと発見しました。
そこから着想を得てこの作品へと発展させたのです。
これは海外美大受験の際にポートフォリオに入れました。
皆さんも偶然性を楽しみながら、是非ポートフォリオ作りに役立ててみてください。では!