ぼくは、カルアーツ受験1回目のときは日本の美大予備校に通い、2回目のときはNYのアートスクールに通っていました。
2回目の挑戦でカルアーツに合格し、いざ振返ってみると、1回目の受験のときは勘違いしていた要素や間違って信じ込んでいた噂話が非常に多かったと分かりました。
そこで今回は、カルアーツを受験する人が陥りやすい間違いを紹介します。
1.形が描けることが何より大切だと思っていた
日本の学校に通っていた頃は『形が描けてないとカルアーツは受からない』と言われていました。
今思うと、それは半分本当で半分間違っていると思います。
基礎力としてのデッサンの技術は絶対に必要ですが、写実性が高いアカデミックな作品は海外ではポートフォリオとしては評価されないからです。
1回目の受験のときはそれを知らず、むしろ写実的な作品ほど評価されると思っており、“ぼくはこんなにアカデミックなスキルがあります!”と言わんばかりの構成のポートフォリオを提出しました・・・。
NYに留学した際、この時のポートフォリオをカルアーツやPrattで教授経験のある先生たちに見せたところ、
『アカデミックなスキルがあるのは分かったけど、全くコンセプチュアルじゃない。これはポートフォリオとは呼べない』
と全員から言われました(笑)
日本的なデッサンの技術はもちろん非常に大切ですが、そこを経て、その先の表現に挑戦している姿勢がより大切だという事です。
2.アニメーション作品が必要だと思っていた
カルアーツのキャラクターアニメーション科を受験するのだから、ポートフォリオにはアニメーション的な作品が必須だと思っていましたが、これも間違いでした。
『3Dモデリングもちょっとできますよ』『少しはMayaも触れますよ』みたいな感じで、キャラクターデザインとかアニメーション作品を数点ポートフォリオに入れる受験者が多いですが、これは辞めた方がいいです。
作品として本当に優れているならポートフォリオに入れていいと思いますが、デジタルツールも使えるアピールのためだけで、作品の質がそこまで高くないのであれば入れるのは避けた方がいいでしょう。
昔カルアーツでポートフォリオのジャッジをしていた先生は、
『多くの受験者がアニメーションをポートフォリオに入れるが、ほとんどの作品はポートフォリオの質を下げるだけだ』
と言っていました。
ちなみにぼくがカルアーツ含め、海外美大3校に合格したときのポートフォリオは、キャラクターアニメーション科っぽい作品はキャラクターデザイン1点と、そのキャラクターのサムネイル1点しかありませんでした。
3.ファインアートはポートフォリオに入れてはいけないと思っていた
上の項目と共通する内容ですが、キャラクターアニメーション科のポートフォリオにファインアートを入れたらダメだと思っていました。
しかしこれは大きな間違い。むしろファインアートは必要不可欠です。
なぜなら、大学側は、ポートフォリオを通して受験者の個性や人間性、その人なりの表現を見たがっています。そしてそれらを表現する方法としてファインアートがベストだからです。
だからキャラクターアニメーション科を志望していても、アニメーションだけでなく、色々なジャンルのアートに触れ、勉強することが大切です。
ぼくの個人的な所感ですが、ファインアートは少なくても2点はポートフォリオに入れたほうがいいと思います。
4.スケッチブックは完成度が高いものを一冊送ればいいと思っていた
海外の美大受験は、ポートフォリオと一緒にスケッチブックも提出する場合が多いです。ぼくはスケッチブックは完成度が高いものを一冊送れば良いと思っていました。
これが大きな勘違い。NYの学校へ行ってから分かったことですが、スケッチブックに対する認識がそもそも間違っていたんです。
スケッチブックは、
- 短期間でどれだけ描けるか
- 普段どんな考え方をしているか
といった事を見るためのものなので、1カ月以内で仕上げたものを複数冊提出した方がいいです。
表紙には必ずスケッチブックを描き始めた日付と、描き終えた日付を記入しましょう。
クオリティが高い作品はスケッチではなくイラスト(完成品)です。
大学側がスケッチブックを通して見たいのは完成品ではなくプロセスで、普段どんな思考プロセスをしているのか、どんなアプローチをして絵を描くのかということが分かる必要があります。
だから下書きは消してはいけないし、失敗したページがあってもいいのです。
5.TOEFLスコアは80点未満でも良いと思っていた
学校によってはTOEFLスコアが基準値に達していなくても、条件付きで合格が出ることがあります。
しかしカルアーツはTOEFLスコアが80点ないと足切りされてしまい、ポートフォリオを見てもらうことなく不合格となってしまいます。
アプライの期限に80点がなくて、数週間後に80点のスコアを送付して合格したケースもありますが、いずれにせよ必ずTOEFLスコア80点は必須です。
まとめ
カルアーツに限らず、海外美大受験で難しいことのひとつは正しい情報を掴むということです。
日本ではまだ海外美大受験のノウハウが十分に蓄積されていません。
そのため、噂の領域を出ない情報が多く、何を信用すればいいのか判断するのが非常に難しいですが、ぼくも引き続き情報収集をしていこうと思います。
このブログが少しでも助けになれば幸いです。