アメリカはLAにあるカリフォルニア芸術大学で留学中の髭猿です。
画力を上げるために誰でもできるのに、初心者ほど疎かにしがちなことがあります。それは資料収集をしっかりやるということ。
たいして資料(リファレンス)を集めずにいきなり課題の絵を描き始めたら全くうまくいかず、資料収集をしっかりやった場合と、それを怠った場合の絵の違いを、ぼくもやっと身をもって体験しました。
ということで今回は、大切なのに意外と見落としがちな資料収集についてまとめてみます。それではどうぞ!
リサーチが不十分なまま作画に突入したら大苦戦
ビジュアルデベロップメントの授業の宿題で、グレースケールのみで3匹のこぶたの家のコンセプトをデザインし直すという課題がありました。
面白そうな課題だったし、3匹のこぶたなら知ってる。作りたい世界観もすぐに決まったので意気揚々といきなりシンティークに向かい作画を進めようとするぼく。
ところが、期待に反して全く筆が進まない。何回ラフスケッチをしてもしょーもない絵しか描けない。
時間をかければいつか良いものが出るだろうと、そのまま作業を何日も継続。気が付いたら締切前日になってもろくなものが描けず、ラクガキみたいなラフを提出せざるを得なくなりました…。
自分は圧倒的に絵がヘタなのかと思ったけど、
- 課題に苦戦したのは画力不足ではなくて、意思決定が完了する前に描き始めたからでは?
- 意思決定をするためのリサーチ不足、情報量不足だったのでは?
- 地面はどうなっているのか、壁はどうなっているのか、素材は何か、気温や天気はどうなのか。そういうことを考えきる前にいきなり描き始めたのが今回の敗因では?
そう思ってこの反省を活かし、次の課題は時間の使い方を変えて、徹底的にリサーチしたらうまくいった!この時の経験から、情報収集能力は画力にモロに影響すると身を持って学んだんです。
プロも認める資料収集の重要性
留学2年目の後期は、カリフォルニア芸術大学だけでなく外部のアートスクールの授業も受講していたんですが、その時の先生(マーベル作品などに携わっているプロのコンセプトアーティスト)が常に資料を集めていると言っていました。
どんなときでも身の回りのすべてを観察して、少しでも何か感じるものがあればグーグルドライブに保存しているそうです。そしてそのフォルダは自分を他人と差別化する強力な武器のひとつとのこと。
資料収集能力はプロでも重要視するほど画力に大きく影響するとても大切なスキル。自分はこれが圧倒的に弱い、というかそもそも重要性の認識から甘かったと痛感しました。
宮崎駿監督も身の回りを観察している
宮崎監督を追ったドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』で、ビルの窓から街を見下ろしながら、宮崎監督はこんな発言をしています。
『あの屋根から隣の屋根に飛び移って、駆け抜けて。緑色の壁に飛びついて、あの配管をよじ登って。あの屋根の上を走ってさらに向こうのビルに行くっていうのをアニメーションでやったら面白いでしょ。
電線の上を歩けたら向こう側にも行けるはずなんですよ。上から見ると本当に全部むき出しに色んなものが見える。あのブロック塀の上を走り抜けることができるはずなんですよ。
そうやっただけでね、つまんない街だと思っていたところがとんでもない映画の舞台になるんですよ。そうやって見ると結構面白いでしょ。
遥か向こうまで行けそうな気がするよね。行けるんじゃないかな』
この映画でぼくが一番好きなシーン。普段から日常をよく観察している宮崎監督だからこその発言です。
面白いもの、新しいものは常に身の回りに溢れている。ただぼくらはそれに気が付かないだけなんだと諭されます。
まとめ
必ずモチーフを見て描く。そのために常に機動力が高い環境を作る。とにかくラボの外へ出る。ラボに籠もっているのが良い傾向だと勘違いしていた。外へ出れば出るほど良い傾向。自分用メモ。
— 髭猿 (@studyabroadAtoZ) 2019年6月18日
- 実際にモチーフを見て描けば良いものが描ける。
- 資料集めやリサーチが充実していればしているほど、その後の工程がスムーズに進む。
- 検索ベースではなく、自分の足を使って実際に見て記録した情報の価値は計り知れない。
- そのために機動力が高い環境を作る。
今後はそんなことを意識していこうと思います。
資料収集力、もっと言うと観察力。それをしっかり鍛えていこうと思います。ということで今回は絵を描く上で資料収集が大切だというお話でした。画力を上げたい人は是非気にしてみてはいかがでしょうか?では!