『基本的なビジネススキルって、身に付けたところで日本のサラリーマンの標準装備だから差別化できないし武器にならないのでは』
と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、海外で生活しているとびっくりするくらいルーズな人が多いので、海外で(特にアートの分野で)戦うなら十分武器になります。
それにアートメイキングって右脳だけでなく、実は左脳的な要素が非常に大切で、
・アーティストとしての自分の強みは何か
・作品をどういうコンセプトにするか
・自分のアートを既存の価値観や概念とどう結びつけるか、もしくはどう戦わせるか
という事を考えるプロセスは、そっくりそのままビジネススキルが活用できました。
サラリーマンをやっていて良かったと思う事
1.スケジュール管理能力が上がった
汎用性が高いスキルの筆頭ですよね。
TOEFL受験やポートフォリオ作成でも提出期限から逆算してスケジュールを組み立てる能力は非常に重要で、かなり助けられました。
2.PDCAとかロジカルシンキングの基本が身についた
これは会社を辞めてから感じることの方が多いですね。
どうやったらライフドローイングがうまくなるか、常にPDCAをぐるぐる回して取り組んでいました。(仕事のときよりよっぽど熱心だったかもしれない・・・)
3.プレゼンをこなす機会があった
ニューヨークの学校(というかアメリカ全体でそうなのかな?)では、作品とプレゼンテンーションは常にセットで、どちらもバランスよくこなせなければなりません。
良い作品をつくれば勝手に評価してもらえるというのは大間違いで、自分の考えや作品の背景をちゃんと説明する必要があり、大なり小なり日常的にプレゼンしていた事は非常に強みとなりました。
4.ビジネスマナーを学べた
『アーティストは作品で評価されるのだから人間性はどうでも良い』と考える人もたまにいますが、ぼくは賛成できません。
アーティストであるまえに一人の人間として傍若無人に振る舞うのはやはり間違っていると思うので、ビジネスマナーは今でも大切にしていますし、帰国している間に色んな方にお会いするときに、重要性を実感します。
5.PCスキルが身に付いた
サラリーマン時代はずっとWindowsを使用しており、今ではもうワードしか使うことはないですが、ブログ執筆に役立っているので一応よかった事ですね。
エクセルはもうすべて忘れました(笑)
6.雪道運転の技術が上がった
岩手に3年おりましたので。
5月までスタッドレスは履いておきましょう。
7.同期、先輩との出会い
これが一番ですね。
今ではお互い違うフィールドですが、切磋琢磨できる仲間がたくさんいるのは本当に励みになるし、やる気にもなります。
一生の財産です。
こんなところでしょうか。
アーティストになったからこそ、活かせるスキルが多いというのが正直なところです。
というのも、これが国内での転職だったら恐らくこんなに状況は良くなかったと思います。
働いていれば誰でも普通に身に付くようなスキルしか持ち合わせていないし、『転職先でどんなバリューが出せるの?』と言われたら、ぼくは恐らく何も答えられないようなノーマル人材だったからです。
サラリーマンを辞めて良かったと思う事
これについては、やりたいことがやれている以上の回答はないです。
会社が嫌で逃げるようにして辞めたわけではないので、とりあえず思い浮かぶ些細なことを箇条書きにします。
1.髪型自由、髭自由
ぼくは髭を生やしたいのです。
2.会社のケータイを携帯しなくていい
いつでもどこでも、もちろん土日もかかってくる電話から解放されたことは素直に嬉しい。
サラリーマンを辞めて不安になった事
これは結構たくさんありました。
特に1回目の受験に失敗した後、2年目の挑戦をしているときですね。
貯金はガバガバ減っていくし、自分がやっている事が本当に最良の方法なのかも分からない。
友人たちは会社で活躍し、結婚をし、人生のステージを上げていく。
一生懸命働いているビジネスマンと共に、私服を着てクロッキー帳の入ったでっかいカルトンバッグを持って電車に揺られる日々は本当に不安でした。
1回目の受験後からニューヨークに渡るまでの8カ月間は結構辛かったのを覚えています。
サラリーマンを辞めて後悔した事
後悔はまだない。
あの頃が懐かしいなーと振り返ることすらないです、というか今までそんな余裕がなかったです。
もちろん保険とか貯金とか、不安要素はたくさんありますし、誰にでも気安く退職をすすめることはできませんが、それでも会社を辞めた事は今のところ人生で最良の決断です。
スキルもない、情報もないという逆境からの出発だったので、どうしたら絵がうまくなるか、どうしたら海外美大に合格できるか、24時間それしか考えていませんでした(英語を勉強している夢と絵を描いている夢を、本当に毎日交互に見るくらい没頭していました)。
今もまだ、これからの大学生活の事やその先のことばっかり考えていて、未だに後悔することも懐かしむ余裕もないです(笑)
脱サラというかただ退職しただけなんですけど、今のところはこんな感じです。