元会社員の俺がカルアーツに合格した話

『映画作りたいんで、会社辞めます』と言って会社辞めた話。:カルアーツ合格記04話

投稿日:2017年4月10日 更新日:





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このシリーズは、海外美大留学や絵の勉強法方に関するノウハウではなくて、その名の通りぼくのカルアーツ合格体験記です。

 

 

東京に戻ってきて学校へ通えるようになったものの、やはり平日5日フルタイムの仕事をしながらの勉強は効率が悪く、このままでは合格できないのは明らかでした。

 

やればやるだけ自分の下手さがわかる

今までは我流で絵を描いていたため、目標までの距離なんて全然分かりませんでした。

 

 

でも通勤時間のスケッチや週末の美大予備校で描けば描く程少しずつアートの事が分かり、その距離の果てし無さに気が付きました。

 

 

このまま仕事と並行してアートをしていても、趣味にしかならない。

 

 

映画を作るために本当にカルアーツに行きたいなら、もう仕事を辞めてアートに取り組むしかないと思いました。

 

毎朝自分と向き合う

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でも、すぐには退職の決断はできませんでした。たぶん色んな事にビビッてた。

 

 

4月に本社に異動してから、毎日仕事が始まる1時間前に出社し、本当に映画を作りたいのか・アートをやりたいのか、自問自答を繰り返しました。

 

 

自分にとっての成功は何か、失敗は何か。やりたいこと、やりたくないこと、住みたい場所、着たい服、一緒に働きたい人。本当に色んな事を考えました。

 

 

そしてふと思いました。自分は何にそんなにビビッてるんだ?自分が一番恐れている事は何だ?

 

 

これで核心をつくことができました。

 

 

ぼくにとって一番恐いもの、それはこの先の失敗よりも挑戦しなかったことへの後悔だと気が付いたのです。

 

男は黙って一点買いで、万馬券が当たる

そんな事を思った数日後、上司が競馬で勝って、万馬券が当たりました。

 

 

上司:『乾坤一擲って知ってるか?』

(けんこんいってき、と読むらしい)

 

 

上司:『本気でここだと思ったら、そのひとつの事に全てを賭けて、のるかそるかの大勝負をする事を言うねん。だから馬体重とか調べまくった後はもう、男は黙って一点買いの精神やねん』

 

 

大阪出身のぼくの上司は、嬉しそうに馬券の話をしてくれました。朝から同じ話を5人くらいに聞かせていました。

 

 

馬券の事はどうでもいい。でも“乾坤一擲”はまさにその時の自分にぴったりの言葉でした。

 

 

大阪出身のくせにオチの欠片もない雑談に、ぼくは強く背中を押されたのです。

 

『君なんて明日いなくなっても会社はつぶれない』 

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辞める前に唯一相談したのは、東京に来る前の岩手時代の先輩です。

 

 

ぼくが電話をした時、先輩は少し酔ってましたが、

 

『君なんて明日いなくなっても会社はつぶれないんだから、やりたいことがあるならそれをやりなさい。辞めたら皆に迷惑がかかるとか言ってるけどね、会社にいるのに本気でコミットしない方が迷惑だよ』

 

と言ってくれました。

 

 

先輩なりのエールだったのだと思います。

 

 

この言葉を頂いた翌週に、上司に辞職の意思を伝えました。

 

『映画作りたいんで、会社辞めます』

4月に本社に異動してきて2ヶ月経った6月頃です。上司に、相談したいことがあるので面談をして頂きたいと伝えました。

 

 

個室に移動し、開口一番、

 

『映画を作りたいんで、会社を辞めます』

 

と言いました。

 

 

アニメーションスタジオに就職して映画を作りたい。そのために世界トップに君臨するカリフォルニア芸術大学で勉強したい。でも今の勉強量では到底及ばないため、退路を断って本気でアートに臨みたい。

 

という事を率直に伝えました。

 

 

全てを受け入れて下さり、なるべく早期に退職できるよう働きかけて下さった上司やチームのメンバーには本当に感謝しています。

 

2015年9月末付で会社を退職しました。

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上司のHさんやNさんは、ぼくが少しでも絵を描く時間を最大化できるようにと、退職するまでの間なるべく残業が出ないようにしてくれました。

 

 

ぼくが退職した後、チームはしばらく欠員のままとなり、やはり多少なりともご迷惑はおかけしてしまいました。

 

 

それでも、ぼくを気持ちよく送り出してくれました。

 

 

本当に心から感謝しています。

 

 

当時のチームは楽しくて仕事のやりがいもありました。ただ、それでもアートがやりたい、後悔したくないと思ったんです。

 

 

就職活動を通して誰かに納得されるような志望動機や将来の夢を語っているうちに自分の本音が聞こえなくなっていたけれど、岩手での生活を通してやっと聞こえた、説明のできない衝動のような自分の本音に、身を委ねようと決意したんです。

 

 

退職してから大学へのアプライまでは約4ヶ月しかなかったので、退職の意思を伝えてからも毎朝1時間前に出社し続け、4ヶ月間のスケジュールを作り込みました。

 

 

こうしてぼくは会社を辞め、アートに全てを賭ける事にしたのです。

 

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