元会社員の俺がカルアーツに合格した話 海外美大受験

カルアーツ合格記06話:仕事に必要だったであろうことは全て、仕事を辞めた後にデッサンが教えてくれた。

投稿日:2017年11月8日 更新日:




実は2015年12月にカルアーツに出願したときは、まだTOEFL80点を取得できていませんでした。

 

 

そのため出願後は英語に注力し、2016年2月にTOEFL80点をクリア、慌ててカルアーツにスコアを送りました。

 

 

ちなみに出願期限後でも最新のTOEFLスコアを受理してくれる海外の美大は結構多いので、後からよりいいスコアが取れた場合は大学へ連絡してみることをおすすめします。

 

 

そんなこんなで、全ての必要書類の準備がやっと整いました。

 

 

受験の結果、見事にカルアーツに落ちる

しかし落ちた。1回目の挑戦では落ちたと散々このブログでお話ししてきましたが、落ちた。

 

 

あれは2016年3月上旬、ちょうどピクサー展に行った日でした。展示会の興奮冷めやらぬ中、結果を通知するメールが届いた。

 

 

ピクサー展の会場で合否を知るなんて運命だ、もしや奇跡の合格なのでは?!と思いつつ結果を見ると、思いっきり不合格。

 

 

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二語目でregretが出てきた瞬間に読むのやめました(笑)。まー当然っちゃ当然なんですけど。それでもやっぱり期待するじゃないですか。

 

 

ぼくがカルアーツに落ちた理由




当時のポートフォリオを見返せば当然の結果なのですが、明らかに実力不足です。

 

 

でもそれ以上に問題だったのがポートフォリオに対する認識不足。

 

 

ぼくが見せるべきだと思っていた作品と大学が見たいと思っていた作品が全くマッチしていなかった。これは後からニューヨークのアートスクールに行ってから分かったことですが。

 

 

落ちたときのポートフォリオはこちら。

ぼくがカルアーツに落ちた理由の考察はこちらに詳しくまとめてあります。

 

 

2回目の挑戦!デッサンから学び直す

今回は落ちたけれども、もう一度だけ受験すると決めました。

 

 

生活費と学費を計算し、これがラストチャンスと腹をくくっての再出発。

 

 

美大予備校とアートスクールに通っていたけれど、どちらもやめて新たなアトリエでデッサンからちゃんと学び直すことに。

 

 

実はTOEFL80点をクリアした直後の2016年2月からそこへ通い始めていました。カルアーツに合格しても落ちても、もっともっとアートを学ぶ必要があると思っていたからです。

 

 

そこにいたのはファインアーティストのカナダ人の先生。彼は大学時代にファインアートだけでなく、幼児教育も同時専攻していたほど、教育にも関心がある人です。

 

 

だから当然教えるのがめちゃくちゃうまい。教えるというかうまく導いてくれる。

 

 

その先生は、今までどの学校でも出会わなかったタイプの先生でした。絵は描いてきたけど、人にものを教える勉強も本格的にしてきたアーティストなんて今まで一人もいなかった。

 

 

『全てのアートの基礎はドローイングだ。ペインティング、彫刻、建築が枝だとすれば、ドローイングは太い木の幹だ。建築だって、マテリアルを使って空間や土地にドローイングしているんだよ。だからドローイングから学ぼう』

 

 

先生もそう言うし、自分でも必要だと思っていたので鉛筆デッサンから始めました。

 

 

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石膏像をデッサンしたり、過去の巨匠のデッサンの模写をしました。

 

 

2時間かけてできないなら、5時間でも10時間でもかければいい。

最初に先生からもらったアドバイスは『できるだけゆっくり描いて』でした。

 

 

日本の美大受験では、限られた時間(3時間だったり6時間だったり)の中でデッサンをしないといけないので、こんなことを言う先生はほとんどいないのではないでしょうか。

 

 

ぼくの先生いわく、

 

『そもそも絵が描けないというのは嘘だ。描けるまで描けば、誰でも絵を描ける。時間をかければ良いんだよ。いきなり短時間で描こうとするから、世の中の人は絵が描けないと言う。なんで日本は絵に制限時間を設けるんだろう』

 

 

おお、いきなり深い。けど内容はとてもシンプル。

 

 

『ちゃちゃっと5分で顔を描いて、自分は絵が描けないなんて言ってはいけないんだ。5分で描けないなら、10分。10分でだめなら1時間。1時間でだめなら2時間。それでもだめだな5時間でも10時間でも、描けるまで描けば良い。納得いくまで続ければ、必ず描ける。そしたら後はそれを少しずつ短時間でできるようにしていけばいい。それだけだよ。』

 

 

先生に言われるまま時間をかけて、ゆっくりゆっくり描いたら思いのほか描けたんです。あれ、自分デッサンできるじゃんって素直に思った。

 

 


30時間くらいかけて描いた。

 

 

もちろん藝大生なんかから見たらまだまだ甘い完成度なんだろうけれど、当時のぼくには『自分描けるじゃん!』って感覚がいかに大切なことだったか。

 

 

それまで自分はデッサンができるなんて一度も思った事がなかったぼくには、十分すぎる成功体験でした。楽しいと思えば努力は努力じゃなくなります。そして人は加速します。

 

 

そこからは本当にアートにのめり込んでいきました。

 

 

デッサンの向こう側に仕事や人生を見た

デッサンはやればやるほど面白くて、社会の縮図そのものだなと思いました。

 

 

デッサンって、仕事の段取りや人間関係の構築と共通するものがあるんです!誰か賛同してくれる方はおらぬか。

 

 

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いきなり詳細から取り掛かるのではなく、大枠からブレイクダウンしていくプロセスなんてまさに仕事の段取りと同じだし、細部に神が宿るのだって同じ。

 

 

(左下の茶色いのは先生がこぼしたコーヒーの染み)

 

 

一カ所を直すと別の場所が歪んで、全体を見ながら部分を修正していかないといけない面倒臭さと大変さなんか、人間関係と全く一緒。人事もそうだし、家族だってそうじゃないですか。

 

 

先生のアトリエでデッサンを描きながら、なんやこれ、会社にいるみたいだ(笑)って思って面白かった。

 

 

大切なことは面倒くさい。宮崎駿もそう言っていた




大切なことって面倒くさいです。

 

 

でも面倒くさいことって往々にして大切じゃないですか。ありがとうとか、ごめんなさいをちゃんと都度言うのって大切じゃないですか。そういうのを後回しにするから色々こじれるわけじゃないですか。

 

 

それって絵も実生活も同じだったんです。

 

 

急がないで、ゆっくりゆっくり時間をかけて絵を描くことで、その面倒くさくて大切なことに気が付く事ができました。

 

 

ここに違和感があるけど直すの面倒くさそうだから後回しにしようって思うと、後で絶対後悔する。周りをどんなに描き込んでも、その違和感の根源に向き合って対処しない限り、絶対に絵は完成しない。

 

 

むしろ描き込んだ部分と逃げてる部分のギャップがどんどん大きくなるばかりです。まるで組織作りみたい。

 

 

デッサンから実生活に活かせる学びを得ることができたし、実生活の経験をデッサンに活かすこともできた。そういうのが本当に面白かったです。

 

 

そうやって週5日、先生の元でデッサンを2ヶ月続けているうちに、少しずつアートの基礎が身に付いていったのでした。続く。

 

 

前の記事:カルアーツ合格記05話:退職前の準備と退職後の生活




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