アメリカはLAにあるカリフォルニア芸術大学で留学中の髭猿(Instagram:art_yusuke)です。今回の記事では海外の美大受験において最も大切な要素である、ポートフォリオについて解説していきます。
ポートフォリオとは自分の作品群のことで、どの専攻の学生も大体20個前後の作品で構成するものです。
一般のアーティストやクリエイターの方が使用しているポートフォリオというワードもこれを指します。
『ポートフォリオを作る』なんてよく言いますが、あれはつまりポートフォリオに入れる作品を作るという意味だったり、ポートフォリオに入れる作品を選ぶという意味ですね。
1. ポートフォリオの中身
ポートフォリオに入れるべき作品や条件は、大学からrequirementとして要求されているので、必ず自分の志望する大学のホームページを確認しましょう。
例えばファッションデザインだったら
・スタイル画
・実際に自分が作成した服
アニメーションやイラストレーションだったら
・ポートレイト(自画像)
・ライフドローイング(クロッキー)
・スケッチブック
などが必要項目として記載されていることが多いです。
2. ポートフォリオの提出方法
作品たちは実物を郵送するのではなく、写真で撮影して、オンラインで提出します。大体どの大学もslide roomと呼ばれるクラウドサービスを使用していて、簡単にファイルをアップロードできます。
写真のクオリティは、そのまま作品自体のクオリティに影響するので、照明器具などをしっかり活用して撮影して下さい。
初めて聞くとびっくりするかもしれませんが、プロのカメラマンに依頼してスタジオで撮影してもらう人も少なくありません。
自分でポートフォリオサイトを作る場合はこちら。
3. ポートフォリオの構成
ポートフォリオはrequirementを満たしつつ、自分の個性がちゃんと伝わる構成にしましょう。とりあえず作品をつくりまくって、その中から良い作品を上から20個選ぶような作り方は絶対してはいけません。
ポートフォリオはしっかり狙って作りにいかなければなりません。
ぼくの先生は『自分史上最高の作品を20個選びなさい。入れようかどうしようか迷うような作品は入れるな。絶対入れたいと思う、ベスト中のベストで構成しなさい』と言っていました。
さらに、常にポートフォリオ全体のバランスを見ながら、自分の長所を主張するために必要なものを考え、足りないものがあれば積極的にそれをつくりにいかなければならないです。
例えば、色のある作品が少なければカラー作品をもっと制作する必要がありますし、作品が全体的にアカデミックすぎるようだったらファインアートを数点作成した方がいいかもしれません。
ビンビンに磨き上げた個性と個性がぶつかりあう戦場において、行き当たりばったりのポートフォリオでは絶対に戦えないのです。
4. ポートフォリオの順番
ポートフォリオに入れる20個の作品を、どのような順番で提出するのかということも大切です。
そもそもポートフォリオは、大学の会議室に教授たちが集まり、受験生の作品を大きなスライドに投影して、全員で一つ目の作品から順番に見ていくそうです。
一応全ての作品をチェックするみたいですが、途中でつまらないとなれば作品の数点は数秒でポンポン飛ばされてしまう可能性が高い。
なので、最初から最後まで飽きさせないために、作品の順番が非常に重要なのです。最初、2番目そして最後に特に強い作品を持ってくるのがセオリーとされています。
色のある作品とない作品の配置バランスも大切です。
おまけ:アメリカで開催されるポートフォリオdayとは
受験シーズンが近づくと、アメリカ各地でポートフォリオdayと呼ばれるイベントが開催されます。
これは大学の関係者が30分くらいかけて受験生のポートフォリオを見てくれて、その場でアドバイスをしてくれるというもので、ポートフォリオのブラッシュアップにはこれ以上ない機会です。
・もっと色を使った作品を見てみたい
・デジタル作品もできればひとつは欲しいな
・この作品は素晴らしいからそのまま提出していいよ
など、かなり具体的なアドバイスがもらえます!
逆に及第点に届いていないと、結構辛辣なことを言われます…。受験生にとっては合否の感触を探るためにマストなイベントで、このためだけに渡米してもいいのでは、と思うくらいおすすめです!
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