世の中は、わからん紙が多く、たまらん画材にあふれている。
機内のお客様のなかに『水彩紙も水彩スケッチブックも、とにかく種類が多くてどれが良いか全く分からん!』という方はいらっしゃいませんか。
乗客の視線は、黙って挙手するぼくに注がれる。ぼくはつぶやく、わかりません。
普段仕事や自分の作品に水彩画材を使用することが多いものの、水彩紙の種類が多くてまだまだ知らないもの・使ったことがない水彩紙がたくさんある。ありすぎる。
ならば自分への備忘録とおすすめの水彩紙のレビューを兼ねて、自分が使った水彩紙をシリーズで紹介するのも悪くなかろう。(画材探索はもはやぼくの趣味)
これから水彩画をはじめてみたいんだけど、どの水彩紙を使ったら良いのか分からないという方の参考になれば幸いです。それではどうぞ。
モンバルキャンソンスケッチブックF4
今回ぼくが使用したのは、1557年から続く地球を代表する紙メーカー、Cansonの水彩スケッチブックです。
ニューヨークや日本を拠点とするファッションブランドの、カレンダー用イラストの仕事をしたときに、この水彩スケッチブックを使いました。
- 水彩紙15枚のスケッチブック
- スパイラル製本
- ハードカバーなのでそのまま持ち運んで外でも描ける
- 紙の色は綺麗な白
- 紙が厚いので水分を多く含んだ表現をしても紙が波打ちしにくい
- サイズのバリエーションも豊富
- 水彩紙としては定番のひとつ
モンバルキャンソンスケッチブックを選んだ理由
モンバルキャンソンスケッチブックはその名の通り、水彩紙が纏めれたスケッチブックです。ハードカバーなので持ち運んでそのまま外で絵を描くことができます。画板も不要。
当時自宅ではなくて外で作業したかったのでちょうど良いなと思ってこれを選びました。
また納期が割とタイトだったため、絵をスキャンした後の修正・微調整などの工程をなるべく減らすために紙がヨレにくそうな厚めの水彩紙を探していて、その点も選んだ理由です。
実際、紙が頑丈なので水彩やアクリルなど様々な画材に対応可能ですし、水で紙が波打ちしにくいのでじっくりと描き込むのに適してます。水張りしないでも結構描けるのが良い。
- 外で描きたい
- 水張りしたくない
- でもヨレたり波打ちするのは嫌だ
というぼくのワガママな願いにちゃんと応えてくれました。
紙のヨレや波打ちを気にせず好きな画材でガシガシ描けるのは純粋に楽しいので、ミクストメディアにも良いと思います。
実際に描いてみた
左から水彩絵の具、色鉛筆、水彩クレヨン、水彩クレヨンを水でぼかしてみました。水彩クレヨンのぼかしは、かなりドバドバと水を垂らしてみました。少し紙が歪んでいるのが分かると思います。
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水彩絵の具で描いたものをスキャンして、デジタルで加筆しました。
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こちらはほとんどデジタル加筆なし。水彩絵の具とマーカーで描きました。
自主制作のイラストの背景。水彩絵具と色鉛筆で描きました。木のテクスチャが良く出てくれた。
少し描き込んでみましたが紙が変な波打ちをすることもなく、端が少し丸まっている程度。これならほとんど問題ありません。
実はぼくはこの紙の裏面も結構好きで、よく使っています。普通、紙には表と裏があって、たまーに好んで裏を使う人を見かけます。
この紙の裏面はあまり絵の具の乗りが良くないんですが、その分あっさりとしたものが描ける。なので情報量を落としたものを描くときに便利なんです。
こんな人におすすめ
ということで、モンバルキャンソンの水彩スケッチブックのレビューをしてみました。実際に使ってみた感じを一言で伝えるなら、本当に紙が丈夫だなーと思いました。
スパイラル製本なのにスケッチブックから紙を手で切り離すときに苦戦したので、カッターを使った方が良いほど紙が強いです。
描き込んでも変な波打ちが出にくいので、時間をかけて1枚絵をしっかり描きたい人に特におすすめだと思いました!
その他上述の通り、
- 水分を多めに使った表現をしたい人
- そのまま持ち運んで外で水彩画を楽しみたい人
- 地の白を生かした表現がしたい人
- ミクストメディアをやりたい人
にも良いと思います。
逆に、紙が少ないため短時間でパパッとたくさんのものを描きたいという人には向かないので要注意。
水彩紙は厚くて上質ですが、枚数は少ないので正直価格は高く感じます。もちろんその分のリターンはありますが、気軽に水彩画を楽しみたいという場合は他のチョイスをした方が良いと思います!
じっくりと描き込むのが好きな人はぜひ試してみてください。ではまた!
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