ロサンゼルスにあるカリフォルニア芸術大学キャラクターアニメーション科に留学中の髭猿(twitter:studyabroadAtoZ)です。ぼくがカルアーツに合格できた大きな要因のひとつが模写です。頻度に波はありますが、絵を始めた頃から今までずっと継続して模写を行っています。最近は朝起きたらとりあえずコーヒーを飲みながら模写をすることがルーティンになってきました。
模写は良いことだらけで、
- 一人でできる
- お金がかからない
- 楽しい
- 絵がうまくなる
とメリットだらけなわけです。西洋絵画の世界でも昔から絵の練習方法として取り入れられてきた模写。ということで今回は、絵の未経験者だったぼくを美大に合格させた模写のコツについてまとめてみます。それではどうぞ!
何を模写するか
絵を始めた最初の方はどんな練習をすれば良いか分からなかったので、人にアーティストをおすすめされたらとりあえずすぐにそのアーティストの画集を買って1ページ目から模写する、ということを繰り返していました。
当時はどんな絵を模写すれば良いかの判断もできなかったので、むしろ思考停止して他人に進められたものを片っ端から模写する作戦はとっかかりとしては非常に良かったと思います。この時期は1日のほとんどの時間をクロッキーの模写をして過ごしていました。ちなみにその時通っていたアートスクールのバイトの先生は、ジョジョを全巻模写したら絵が超うまくなったと言っていました。
ここ最近の模写の対象は、
- 次の仕事や制作で必要になりそうなタッチのもの
- 普段あまり描かないもの
という感じです。あとは随時必要に応じて模写しています。
ちなみにクロッキーの模写に関する記事はこちら。
模写する時に意識していること
描く時に意識していることはざっくりと言うと2パターンあって
- 線のクオリティを習得するために描く
- ものの形やボリュームを習得するために描く
を意識して使い分けています。
※もちろん画面の構図の模写もやりますが、それはフィルムスタディとして分類しているので模写とは別枠で時間取ってやってます。
模写に対する意見は様々ありますが、絶対的な正解・不正解というものはないように思います。でもひとつ言えることは、何を学ぶために模写をするのかは強く意識して描いたほうが良い。何も考えないで描くと自分の手癖を総動員して見本の絵を再構築するだけの作業になってしまうからです。
手癖とは簡単に言うと、無意識にやってしまう自分の絵のパターンのことです。ぼくはそのパターンを修正したり増やすために模写をしているので、今ある手癖で描くと模写の意味がなくなってしまいます。
あと、時間をかけてしっかり描くようにしています。ちゃちゃっと模写して終わり、ということは絶対にしません。急いで描くとこれまた自分の手癖全開の絵になってしまうからです。1日単位で考えれば量より質。でも結局は量が大切なので毎日継続する、という感じ。
模写することで完成までにかかる時間を体感できるのは大切だなあ。シンプルな絵でも丁寧に描くとすごく時間がかかる。模写する見本があってこれだけ時間がかかるのだから、今の自分のスキルでゼロから意思決定してデザインするならもっと作業時間がかかる。時間がかかることに音を上げない。教訓。
— 髭猿 (@studyabroadAtoZ) August 17, 2020
模写することで完成までにかかる時間を体感できるのは大切だなあ。シンプルな絵でも丁寧に描くとすごく時間がかかる。模写する見本があってこれだけ時間がかかるのだから、今の自分のスキルでゼロから意思決定してデザインするならもっと作業時間がかかる。時間がかかることに音を上げない。教訓。
スムーズに模写を始めるコツ
模写する前に、何を模写しようかな~と悩むことに時間とエネルギーを使いたくないので、PCに模写専用フォルダを作って、模写したい画像を事前にストックしておくようにしています。こうすることで、模写しようと思った瞬間から模写を開始することができます。これ地味ですが、模写をする上で実は結構大事な作業だと思っています。
- 何のために模写をするのか
- そのために何を模写するのか
ということをちゃんと考えると、思っている以上に脳が疲れます。そのまま模写に突入すると、集中しきれず結局手癖で描いてしまう…。なので今は模写する対象を集める時間と、模写する時間は分けるようにしています。模写したい画像のストック作業は、インスタグラムやツイッターの良いねを活用するのもおすすめです。
模写におすすめの道具
紙とボールペン
模写をするのに一番手っ取り早いのが紙と鉛筆ですが、鉛筆だと消すことができるという油断から手癖が出やすいです。そのため、ぼくはボールペンを使って模写をすることが多いです。でもものの形やボリュームを習得するために模写するときは、描きながら正しいボリュームを探っていくので鉛筆やデジタル画材を使います。
iPadで模写
iPadの画面を分割して見本とお絵かきアプリを並べて表示できるので、模写のときはiPadとApple Pencilを使用するときもあります。どこでも手軽に模写ができるし、何より模写する見本を簡単に表示できるのが最高に便利です。画面が分割されるのでアプリを表示する部分が小さくなるのが難点ですが、第7世代や第6世代であればかなり廉価で入手できます。ちなみにぼくは未だに第6世代を使用しています。
関連記事はこちら:iPadで絵を描くだけなら最も安いモデルはどれ?
インプットとアウトプットはセット
個人的な体感だけど週1回まとめて3時間やるより短時間でも毎日やった方が効果を感じるという意味で、模写は歯磨きみたいだなと最近思う。で意外と忘れられてるけど、模写して学んだことを自分の作品としてアウトプットする場もセットで用意して習慣の中に組み込んでおくのが、当たり前だけど凄く大切。
— 髭猿 (@studyabroadAtoZ) July 23, 2021
模写だけして終わらない、というのも大切なことです。
常に追求するのは、模写すること自体ではなく、自分の作品のクオリティを上げること。アウトプットする場があってのインプットです。
模写だけではなく、自分の作品としてアウトプットする場も模写とセットで習慣の中に組み込むと、より効果的です。
絵の練習方法は色んなものがありますが、何をやろうか迷ったらまずは模写がおすすめです!ただ朝イチにやるべき事なのかどうかは微妙。模写する時間帯に関しては改善の余地があるかもしれません。色々試してみようと思います。では!