拝啓、ぼくはPhotoshopが使えません。
使えないと言うか、カルアーツに入学するまでPhotoshopを1度も触ったことすらありませんでした。
ちなみに、カルアーツにいるのにPhotoshop使ったことがないという狂った輩は、もちろんぼく以外一人もいない。マジで。
まずは昔デジタルで描いた絵をさらす
デジタルツールを初めて使ってみたのが2016年8月頃。
ぼくが使用したのは、ワコム ペンタブレット Intuos Comic M ペン&タッチ マンガ・イラスト制作用モデル ブラック CTH-690/K1。いわゆる板タブレットというやつです。
最初は板タブ特有の抵抗感のないツルツルした書き心地になかなか慣れず、アナログで描いた作品の修正くらいにしか使っていませんでした。
当時、無理やりデジタルで描いた絵(ヤバい)。使用していたソフトはClip Studio Paintです。
こりゃカルアーツに行ってから苦労するかなーと思っていたら、案の定めちゃくちゃ苦労しています(笑)
学校のPCにインストールされているペインティングソフトはPhotoshopだけで、ぼくが唯一使えるClip Studio Paintは入っていない。
そんなわけでPhotoshopから逃げられない環境になってしまいました。
はじめてのPhotoshopでキャラクターデザインに挑戦
カルアーツでは様々な課題が出ますが、特に指定がなければ好きな画材を使用して良いことになっています。
最初に出たキャラクターデザインの課題は、○△□のシルエットを使って動物のキャラクターをデザインせよというもの。
この課題は特に画材の指定がなかったので別にPhotoshopを使わなくても良いんですが、そんなこと言ってたら一生使えるようにならん。
それにクラスメイトは当たり前のようにPhotoshopを使ってるし、業界ではデジタルツールが使えないと話にならないので、逃げずにPhotoshopに立ち向かうことにしました。
そしたら大変なことになった。
象のキャラクターをデザインすることにしたんですが、ぼくによって無理やりこの世に生を得た哀れな象がこちら。
ナンヤコレ。象が泣いてるよ。やっぱりPhotoshop使えない。そりゃそうだよ、生まれて初めて使ったんだもん。
そして当たり前だけどクラスメイトとのクオリティの差に唖然。このままではヤバいと思い、宿題の期限までまだ時間があったので、デザインし直すことにしました。
でも今のスキルじゃ到底クラスメイトに追いつけない・・・。とは言えPhotoshopからは逃げたくない・・・。さてどうしたものか。
できることで勝負しよう!
そこで、考え方を変えて自分の強みに目を向けてみることにしました。
ぼくはアニメっぽいテイストやカリカチュア(人物の特徴を極端に誇張した技法)は苦手だけれど、ファインアートや実験的な要素は大好きです。
特にコラージュが好きで、今年の前半はコラージュの要素を取り入れた立体作品やペインティングを作り続けていました。
例えばこんなやつ。
コラージュを使ったポートレイト。
コラージュを使った小さいサイズの似顔絵。
友人の結婚式のお祝いにプレゼントしたファインアート。パレットの上で一度乾かしたアクリル絵の具を剥がして、スケボーのデッキに再構成しました。表裏一体になってる。
いかがでしょうか、アニメーションを微塵も感じないこの作品たち(笑)。
実はカルアーツに入学して以降、ファインアートや実験的な要素ってどうやってアニメーションに活かせばいいんだろう・・・と悩んでいたんです。
でも気が付いた!
これでキャラクターデザインをしたら面白いんじゃないか?!同じことをPhotoshopでやれば良いんじゃないか?!と。
デジタルツールを使ったコラージュなら、
・ファインアートや実験的な要素を取り入れたい
・アニメーション(キャラクターデザイン)をやりたい
・Photoshopを使いたい
これを全部実現できる!
そう考えたぼくは、Photoshopによるデジタルコラージュというアプローチでキャラクターデザインをすることにしました。
デジタルコラージュでキャラクターデザインをする
早速アブストラクトペインティング(抽象画)を作成。
これをスキャンして、Photoshopに取り込みました。
取り込んだ画像の彩度・明度・色味などを調整したり、角度を変えたり、部分的なコピペを組み合わせたりしながら、キャラクターのきっかけになりそうな部分を探していきます。
この作業はアナログでコラージュ作品をつくっている感覚そのままで、とても楽しい。
ひっくり返すだけでもだいぶ印象が変わって、新しいものが見えてきます。
キャラクターっぽい部分が見つかったらさらに細かく彩度・明度・色味やシルエットを整えて、より分かりやすくデザインしていきました。
その結果できた作品がこちら
課題1.○△□のシルエットを使い、動物のキャラクターを3つデザインせよ
最初の作品をやり直したやつです。テクスチャ(質感表現)が気に入っている。
上のアブストラクトペインティングをもとに作成しました。
課題2.ランダムな形のシルエットをもとに、カルアーツの教授の顔を5つデザインせよ
象で味を占めたぼくは、迷うことなくこの宿題もデジタルコラージュでやることを決意。
前回同様、自分のペインティング作品をスキャンして、重ね合わせたり明度などを調整しながら作っていきました。
こちらのシルエットをもとに、キャラクターデザインをして、
出来上がったのがこちら。意外と教授陣の特徴を捉えてると思う。実際の顔が分からないとなんとも言えないと思いますが(笑)
課題3.○△□のシルエットを使い、蜘蛛をモチーフにしたキャラクターを6つデザインせよ
教授から、
『次はペインティングだけじゃなくて写真も使ってコラージュしてみたら?物体のシルエットがシャープではっきりしている素材を使った方が、キャラクターのきっかけとなる形を見つけやすいと思うよ』
とアドバイスをもらったので、まずは外を歩き回り写真撮影。
取ってきた写真をフォトショップに取り込み、重ねたり色味を変えたりしながらキャラクターのきっかけを探しました。毎回この工程が一番時間がかかる。
そして出来上がったキャラクターたちがこちら。めちゃくちゃ疲れたけど、とても楽しかった。
先の顔もそうだしこのクモもそうですが、実はブラシツール(描画ツール)はほとんど使用していません。
キャラクターの質感表現は画像の重ね合わせや彩度や明度の調整だけでやりました。デジタルで絵描けないので(笑)
気になる教授の評価は?!
教授は毎回の授業で、生徒の作品をスクリーンに映しながら一人ずつ講評していきます。
ぼくの作品に対して教授がくれたコメントは、
『クレイジーだね!いいよ!実は俺も昔、君と同じことをしていたよ。フォトショップでアブストラクトペインティング(抽象画)を描いて、そこからキャラクターデザインをしていた。そしてトラップにハマったんだ。だから気を付けて』
ん、トラップ??
『俺はテクスチャやビジュアル的な面白さを求めるあまり、肝心のキャラクターへの意識が疎かになってしまったんだ。このキャラクターはどんな性格なのか、どこに住んで何をしているのか、どんな友だちがいるのか。本来それをデザインに落とし込むことが一番重要なんだよ。』
『ただこのアプローチは他の人はあまりやっていないことだから、是非このまま続けて追及していってほしい。その際、ビジュアル的な面白さだけじゃなくて、同時にキャラクターの事をもっと配慮すれば、もっと良くなるよ。』
なるほど。確かに自分のデザインはキャラクターとして弱いのは感じていました。
キャラクターの性格や特徴を表すポーズや表情をつけていないし、そもそもコイツはどんな性格なんだ?ということはあまり考えていなかった。教授には全て完全にバレてました(笑)。
まとめ
入学直後の9月頃は本当にPhotoshopの使い方が分からなくて絶望していたものの、なんとか授業にはついていけるクオリティの作品が少し作れるようになってきました。
最初はcommand+Zしか知らなったので一回しかundoできないと思ってましたから。2回以上前の状態に戻りたいならcommand+shift+Zやで。そんなの皆さんご存知ですね。
とにかく、そのくらいできなかったんです。Photoshop使う授業はとにかく嫌だった。
でも今はPhotoshopが楽しくて、自分で購入もしてしまいました。大学のPCに入ってるのに。
アナログもデジタルも、バランス良く使えるようになりたいなあと思う髭猿(@art_yusuke)でした。
今日の一言:Photoshop使えなくてもカルアーツには合格できるけど、入学してからクソ苦労する。
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