このシリーズは、その名の通りぼくのカルアーツ合格体験記です。今回で10話目。
会社を辞めてから家とアートスクールの往復という、見た目的にはとても無機質な生活を送っていたぼくですが、内面は非常に充実していました。
理由は大きく2つあって、
- 個の作業の方が得意だったから
- 内発的モチベーションに身を委ねたから
からだと思います。
むしろ会社員時代よりも頭は冴えてるし、日々バキバキに成長している感じがしていました。なんなら会社を辞めてからの方が自分のパフォーマンスが高い気がする。ということで今回はそのときのお話を少々。それではどうぞ!
個の作業の方が得意だった
会社を辞めてから一人で絵を描くだけの生活が始まったわけだけど、特に寂しくも苦しくもなく、淡々をやるべきことだけをやり続けました。他の誘惑も一切なく、絵の経験もないド素人のくせに、自分の成長を疑うこともなかった。
というのもぼくは、どうやら皆でわいわいやるより一人で没頭する方が得意な人間だったみたいなんです。絵は下手くそだけど、絵を描いている時間そのものが居心地良かったんです。
子供の頃からずっと集団スポーツをしてきたし、入社後も最低でも常にフロアに50人はいる環境だったので、ぼくは誰かと一緒に作業する経験しかしたことがありませんでした。だからそれなりに世代性別を問わずコミュニケーションは取れたし、なまじっか器用にこなせてしまったばかり、たぶん本当は自分にとっては嫌な環境なのにどんどんそっちへ突き進んでいたんです。
世の中で善とされていることでも自分が苦手なことならやる必要は無いと思います。例えばチームプレーは善とされているけど、どうしたってそれが苦手な人はいるし、そういう人が無理して集団に所属する必要はないと思う。自分の向き不向きで考えたほうが良い。個でできることもたくさんあります。
苦手なフィールドで無理して努力しなくて良い
当時のぼくは、会社に馴染めないことは悪だと思っていたのでそれを受け入れるのに少し時間がかかったけど、今思えば自分の苦手なものを詰め込んだような環境だったので、辞めたことは自分にとって大きくプラスに働きました。
- 外で活動するのが好きだけど、ずっと家の中にいるのも別に苦じゃない。
- 集団スポーツは好きだけど、集団行動は苦手。大勢でわいわいするのとかめちゃくちゃ嫌い。1人もしくは少数のが好き。
- 事務処理が本当に苦手。書類作成は生き地獄。
- 広い空間に人がたくさんいる環境が苦手。島並びのデスクも何故かマジで苦手でした。座っているだけで気疲れしてしまう。
だからこそ、アートスクールで一人でずっとデッサンしている時間は楽しかったし、なんて贅沢な時間なんだ!!と思っていました。
不向きなこと・苦手なことなのにある程度できてしまう、というのが一番の地獄だと思います。苦手だけど真面目に取り組み、それゆえ周りからも応援され、だからより頑張ろうとしてしまうというサイクルは、一見良いことの様ですが、じわじわ自分を苦しめていきます。
自分の適性に合った場に努力を投下することで、努力は期待値以上に機能すると学びました。
内発的モチベーションに身を委ねた
モチベーションの種類はシンプルに分けると、
- 人に言われたことをするのか
- 自分が望むことをするのか
に2分されますが、この違いも大きく行動に影響しました。
ぼくは好奇心に駆動された結果、自分が望むことを始めました。会社を辞めて絵の初心者として全く新しい道を進むことを選びましたが、その方が自分のパフォーマンスはあらゆる面で向上したんです。
会社員時代は一度たりともPDCAをキチンと回せたことがないし、OODAなんて知りもしなかったのに、絵を初めたら何も意識しなくてもPDCAはグルグル回ったし、それを補完すべく勝手にOODAループを取り入れていました。
でもこれは、決して自分の能力が上がったという事ではないんです。内発的モチベーションに身を委ねて狂人のごとく突き進んだから出来たことであって、人から命じられた仕事では絶対に発揮できない自信があります。
PDCAなんて誰でも知っているし原理は全然難しくない。それでもきっとぼくは、人に言われたことに対しては、絶対にPDCAをうまく回せない自信があります。本当にその結果を欲しいと自分が心から思っていないからです。回ったとしても効果のないものになると思います。
人に言われたことでも自分の望みと合致していればパフォーマンスは上がるでしょう。人間の能力における変数は、経験の有無ではなくてモチベーションです。知らんけど、たぶん皆そうだと思う。
まとめ:経験に頼るのではなく学習能力を発揮する
会社を辞めてアニメーションの勉強を始めると挨拶まわりをしたとき、ほとんどの人から
『昔からアニメーションをやっていたのか?』
『そういう経験あるの?』
と聞かれました。
で、やったことないとぼくが答えると
『…え??大丈夫なの?』
と鳩が豆鉄砲を食らったような顔をされる。もうほとんど全員、この流れがデフォルトでした。
皆はぼくの経験の有無がやたら気になったみたいで。それは理解できるんです。でもぼくの経験が無いと分かるとめちゃくちゃ心配して、うまくいかないベースのリアクションをする。なぜそんなリアクションをされるのかまったく不思議でした。
経験が無いことを始めるのがそんなに罪なのかと。これは何罪なんだと(笑)。でも誰に何を言われても、経験の無さなんて問題じゃないと信じていました。事実、経験がなくてもモチベーションに突き動かされた学習能力を発揮できれば、経験の無さはカバーできます。
経験に頼ろうとしたらそりゃうまくいかなかったでしょう。だって経験無いんだもの。そうじゃなくて学習すれば良いだけ。
未来の自分に無責任な期待をしながらただ傍観するのではなく、自分の未来をどうしたいか構想し、その実現に向けて今何をするか考えながら行動を積み重ねていくことで、初心者のぼくは地道に成長して行ったのでした。