このシリーズは、海外美大留学や絵の勉強法方に関するノウハウではなくて、その名の通りぼくのカルアーツ合格体験記です。
さて時は、2015年9月。
会社を辞めたのは良いものの、カルアーツへのアプライまであと4ヶ月しかありません。
(実際に退職した日付は2015年9月末付けですが、9月ほぼは有休消化で、確か2日くらいしか出社していません)
退職前に立てていた計画通り、早速アートだけに集中した生活がスタートしました。
Why, What, Howを明確にした
退職後の話をする前に、退職を決意してから実際に退職するまでの間、毎朝1時間ぼくがどんな準備をしていたかを先にまとめようと思います。
会社を辞め、隣で常にアドバイスをしてくれるような上司や、同じステージで切磋琢磨する同期を失った後も、何があってもブレず、諦めず、初志貫徹するために、
そもそも何で映画つくりたいんだっけ?
というWhyをちゃんと明文化して、常に自分の中に明確にしておくべきだと考えました。
さらにそこから、What→Howと棚卸をして、取り組むべきことを決めていきました。
Why:何故映画をつくりたいのか。何故アートをやりたいのか。何故カルアーツにいきたいのか。
What:自分が作りたい作品を作るため、カルアーツにいくためには、何が必要なのか。何が足りないのか。
How:必要な技術・足りない知識はどうやったら習得できるか。どんな練習方法が良いのか。
こうでもしないと、アート初心者のぼくは何から手を付ければいいか皆目見当がつかなかったのです。
ちなみにこのWhy→How→Whatのフレームワークはゴールデンサークルと呼ばれ、TEDでもプレゼンされているので興味がある人はどうぞ。
自分で考えた練習方法
自分に足りない技術を身に付けるために必要だと思った練習はざっと以下の通り。
・トレス (上手い人の作品で線の引き出しを増やす。使うべき線の太さ、強弱を考えながら、輪郭線で立体感が出せるように )
・摸写(人体。顔。キャラ。服。機械。風景。)
・ライトをしっかり当ててデッサン(凹凸表現、影のつけ方。立体感)
・クロッキー(ヌード・着衣・動物)
・電車クロッキー
・デッサン(人物・静物・風景)
・色面構成(水彩・アクリル・色鉛筆)
・解剖学
・映画見てストーリーボードに起こす
・キャラクターデザイン
・ストーリーボード
・個々のパーツの練習
・アニメーション(パラパラ動画)作成
・アニメーション分析(YouTubeコマ送り再生)
・キャラクター分析(アニメ、映画、ゲーム様々なキャラクターのシルエット、設定、服をリサーチしてなぜ魅力的なのか考える)
必要なものと書類
事務処理も含め、海外美大受験をするために必須項目となることも洗い出しました。
今までこのブログでも度々紹介してきましたが、必要なものは全部で、6つ。
・ポートフォリオ
・TOEFLスコア80点以上
・スケッチブック
・エッセイ
・高校もしくは大学の成績証明書(英文)
・推薦文2通
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4ヶ月の活動計画と1週間の生活リズム
次に、自分で考えた練習方法と、必要な事務処理の全てを4ヶ月のスケジュールに落とし込みました。
そしてそれを週単位、1日単位まで作り込んでいきました。
9月以降は実際にこのときに作った計画をもとに生活を開始。当時の生活リズムは以下のような感じです。
■午前中
・進捗確認
・英単語
・英文ニュースをチェック
・Pinterestで自分の理想の絵に近い画像を漁る
・トレス顔30分
・模写顔30分
・トレスヌード全身30分
・模写ヌード全身30分
・トレス着衣30分
・模写着衣30分
・トレス機械30分
・模写機械30分
■昼食
■午後
・TOEFLの勉強
・スケッチ
木曜日は以下
・デッサン2時間
・アクリル画2時間
・ヌードクロッキー2時間
金曜日は以下
・ヌードクロッキー2時間
・デッサン4時間
■夜
・好きな映画のシーンをストーリーボードに起こす
・模写コンセプトアート
・エッセイ作成
アカデミックな勉強に囚われすぎた
このときはとにかく絵を描いていました。本当にたくさん描いた。
ただ、自分のアートを作成していたと言うよりは、基礎的な画力を身に付けるために模写やデッサンなど、アカデミックな勉強をしていました。
アカデミックな勉強ももちろん非常に大切ですが、本当はもっと、アートそのものを楽しむ姿勢が大切です。
このときの僕にはそれが欠けていた。
ただ、今振り返ってみると、このときはこれで良かったと思います。
カルアーツをはじめとした海外美大のアニメーション科では、ポートフォリオの個性やコンセプトが充実している事は大切ですが、それはあくまでアカデミックなスキルがあるという前提での話だからです。
アートのバックグラウンドがゼロの僕に、当時アカデミックなスキルなんて微塵もない。だからこうする他なかった。
この年のカルアーツ受験は結果的に落ちてしまうのですが、それでもこのときアホ程描いたたくさんの下手な絵は、後々アカデミックなスキルの醸成に繋がったので、決して無駄ではなかっと思っています。
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