こんにちは、アメリカで留学中の髭猿です。このスーツを着たアーティストのブログでは、実は美術解剖学に関する記事が毎月のPVランキングのTOP3に入ります。
美術解剖学の勉強法に関する質問を頂くこともあり、
『ちゃんと人体構造を理解した上で絵が描けるようになりたい!』
『独学で美術解剖学を勉強したい!』
という方が非常に多くいらっしゃると感じています。
ぼくは今回の記事でまとめてあることに加えて、カナダ人のアーティストに美術解剖学を教えてもらいました。そのときのことはこちらをどうぞ。
もちろん独学でも美術解剖学の基礎を身に付けることは可能です!ということで今回は絵の初心者でも独学でできる美術解剖学の勉強方法を具体的にご紹介しようと思います。それではどうぞ!
Step1:筋肉構造を理解・記憶するために模写をする
教本は、このブログでも何度もご紹介しているこの本、Artistic Anatomyを使用します。全て英語で書かれていますが、筋肉のイラストが豊富に掲載されていて、それを見ながら模写をして学習するので英語が分からなくても大丈夫です。
こんな感じで、この本の後半部分には、上段に裸体の男性がポーズをとっている絵、下段に同じポーズで体内の筋肉がどのように伸縮しているかという絵がセットで多数掲載されています。これらのページを利用して、以下の方法で勉強していきます。
- 上段と下段の絵をたくさん模写して、人体の筋肉構造を覚える
- 下段の筋肉の絵を隠し、上段の裸体の男性の絵を見ながら下段の筋肉構造の絵を自分で再現してみる
- 自分の絵と下段の筋肉の絵を見比べる、復習する
- 毎週クロッキー会へ参加して、実際のモデルさんを描く
この練習方法をぐるぐる繰り返してくと、クロッキーの際に昔は見えなかった体の凹凸や筋肉の隆起が見えるようになってきます。
特に何も筋肉の勉強をしていないと背中のクロッキーは非常に難しいですが、ぼくはこの方法で背中の構造を理解することができ、背中も楽しく描けるようになりました。
しかしこの練習をずっと繰り返していると、自分の絵が解剖学的になりすぎてきます。クロッキー会でせっかく生身のモデルさんを描いているのに、模写したような絵になってしまっている感覚です。そうなったらStep2へ移ります。
Step2:リズムとフォースでデフォルト(情報量の省略と取捨選択)を学ぶ
美術解剖学の知識が身についたら、次にリズムとフォースを模写します。この本は美術解剖学を意識しつつも、ポーズを大胆にデフォルメした絵が多数掲載されていて、目にした情報をいかに取捨選択するかを学ぶことができます。
このStepではとにかく前のページから順番に次々模写していきます。もちろん継続して毎週クロッキー会にも参加します。こうすることで、Step1で身についた美術解剖学の知識をデザインに落とし込む方法が分かってきます。
勉強を続けているうちに、
知っている&見えている筋肉の情報を描く→モデルさんを見て魅力的だと思ったことを描く
というように自分のアプローチが変化していくはずです。
Step1で情報(知識)を身につける。Step2で情報をデザインすることを学ぶ。そうすることで少しずつ自分の引き出しが増えていきます。
Step3:動いている人を描くことで滑らかで柔らかい線を目指す
さらに自分のアプローチ・線の種類を増やす方法として、動いている人を描くという方法があります。このときは解剖学のことは深く考えなくて大丈夫。ラフで構わないので、腕をのびのび動かして楽しんで描きましょう。この2冊の本を模写するのもとてもおすすめです。
動いている人を短時間で描いていると、線が長くなったり曲線が多くなります。クロッキー会でも筋肉を意識しつつそのような線が引けると、画面に柔らかな印象をもたらしてくれます。
Step1から3をぐるぐると何周もこなす事で、独学でも美術解剖学を深く理解することができます。
補足:美術解剖学をより効率的に学ぶために
できればStep1の前にアーティストのための美術解剖学やスカルプターのための美術解剖学なんかを読んで、骨と筋肉に関する知識を入れておくとより効率よく学べると思います。これらはもちろん日本語です。
その他、以下に紹介する教本に描かれていスケッチやイラストの模写も知識の定着に役立ちます。
お得に美術解剖学やイラストの書籍を手に入れたい方はこちらも合わせてどうぞ!
以上、独学でゼロから美術解剖学を勉強する方法についてご紹介しました。少しでも参考になれば幸いです!今後も髭猿なりの絵の勉強法を紹介してきます。では!