ストーリーボードという言葉に耳馴染みがない人も多いと思いますが、絵コンテのことを指します。そしてストーリーボードを描く職業をストーリーボードアーティストと言い、海外のスタジオでは非常に人気の職種です。
人気の理由は様々ですが、
- 他の職種より監督になりやすいから
- 給料が良いから
- 演出に大きく関われるから
というのが多い印象。
実際にぼくが通っているカルアーツでも学科の学生の半分はストーリーボードアーティストを志望しています。
じゃあ実際にどうやって海外のスタジオでストーリーボードアーティストになるのかというと、
インターンシップをやってそのまま採用される
というのが最もオーソドックスな方法です。しかしインターンシップは倍率がとても高く、ましてやスタジオがある場所≒アメリカにいないといけないので、非常にハードルが高い。
そんな中、先日授業に来てくれた卒業生が自作アニメーションを作り続けるという方法でストーリーボードアーティストになったという話をしてくれました。これなら日本にいながら、そして自宅に引き篭もりながら実行できるかもしれません。
ということで今回はちょっと変わった方法でストーリーボードアーティストになった人のお話をご紹介します。それではどうぞ!
自作動画を作り続けてストーリーボードアーティストになった人が教えてくれたこと
自分にとってのヒーローは大きなスタジオでも有名なアーティストでもなく、ネットに自作動画をアップする人たちだった。自分もそうなりたいとずっと思ってきた。
多くの人は大学を卒業したらもうフィルムを作らない。それで仕事が見つからないと嘆く。答えは簡単でフィルムを作らないからだ。ポートフォリオクオリティじゃなくてもいいから自分のためにフィルムを作れ。そしてそれを公開しろ。
何をしたいのか、何を作りたいのか知ることが仕事探しの一歩目にして最も大切なことだ。そのためにはやはり自分のフィルムを作るべきだ。
会社に入ることより自分がやりたい仕事を創る方が大切。そうしないと自分が入りたかったスタジオに入れてもいずれ自分を見失う。
理想のスタジオに雇われるために作品を作るんじゃなくて、やりたいことをやるために作品を作る。ショーランナーになりたいんならショーランニングする。フィルムを作りたいならフィルムを作る。自分でコントロールできることが多い方が楽しい。
やりたいことをやる方法は入りたいスタジオに入るんじゃなくて、やりたいことをやり続けてそれでマネタイズすることだ。
ということを仰っていました。凄い納得。その通りだと思う。
独自の就職活動
彼は大学にいるときから自作アニメーションを作り続けたそうです。当時の先生の中には、彼の作品をボロクソに酷評する人もいたそうですが、それでも作ることをやめなかったらしい。
ただ単にストーリーボードアーティストになれれば何でも良いというわけではなく、作りたいテイストの作品じゃないと楽しくないという信念もあったそうです。それ故、やみくもに就職活動するのではなく、自作アニメーションを作り続けるという方法を選んだとのこと。作って公開してフィードバックをもらってまた作って、ということを繰り返したそうです。
仕事に繋がりやすい作品や、作りたくないものを作ることは決してしなかった。自分の作りたい作品からスタートして、それに固執し続けた。作りたいものを作って人に見せた。なぜならそれを仕事にしたかったから。
落書きっぽいテイストで大人向けのギャグアニメーションのストーリーボードがやりたいという拘りがあったから、自分でそういうアニメーションを作り続けて配信した結果、それを見つけたディレクターから『この作品面白いね。うちでこのシリーズのネット配信やらない?』と声がかかって、それが仕事につながったそうです。
まとめ
以上、自作アニメーションを作り続けてストーリーボードアーティストになった方の言葉でした。
アーティスト≒起業家的な視点に立った発言が多く、非常に勉強になった!!終始、武器は無数にあるこの時代にどう仕事を創るのか、という姿勢でお話して下さってとても参考になりました。
ストーリーボードの以前はライティングの仕事に就いていたそうですが、その時も仕事が終わった後に自作アニメーションをせっせと作り続けていたそうです。それが実ったわけですね。
誰かの許可を待つ必要はない時代に就職活動をするなんてナンセンスだ、今すぐ創職活動をするべきだ。そんな風に背中を押して頂けたような気がします。
常に本丸を攻めること、作りたいものを作り続けること、そしてそれを世界に発表し続けることの大切さが分かりました。
※作ったものがちゃんと世界の人の目に触れるように、ポートフォリオサイトを構築しましょう。
村上隆も芸術起業論で同様の内容を語っているので興味ある方は是非。アーティスト≒起業家的な視点に興味があれば、村上隆個人のことを好きでも嫌いでも、読んで後悔はしないと思います。
こちらも合わせてどうぞ:ストーリーボードの勉強方法について考えてみた。